今回は、医師の副業としての「出版」についてです。
医者が本をだすことは、意外と多いですよね。
以前から、わたしも漠然と「本を出せたらいいな~」とは思っていましたが、この歳(アラフィフ)まで何も行動をおこすことなく過ごしてきました。
ところが、今年、生まれて初めて出版(もちろん自費出版じゃなく、商業出版)の機会をいただきました。
一般読者向けの医療関係の本です。え?医療否定本とか変な本じゃありませんよ!!
すでに出版され、数ヶ月が経過しました。
といった疑問に対する答えもふくめて、私の経験を紹介します。
この記事のまとめ
- 医師が出版するメリットはたくさんある。
- 印税で儲かるかどうかは、本が売れるかどうかにかかっている。
- 商業出版するためには、出版社のコネを使う、企画を売り込む、あるいは、ブログなどで情報発信して声がかかるのを待つ、といった方法がある。
以上です。
では詳しく解説しますので、最後までお付き合いください。
医師が出版することのメリット・デメリット
一般的に、無名の素人が本を出版するメリットには次のようなものがあると言われています。
(1) その道の専門家と認知され社会的信頼度が向上する
(2) 取材やセミナー講師の依頼が増えるため良質な引き合いが増える
(3) 頭の中の暗黙知が形式知化されるため知識が体系化される
(4) 印税が入る
(5) 親孝行になる
これを医師に当てはめると、次のようになります。
- 医師として知名度が上がり、患者さんや職場の同僚から信頼・尊敬される(あるいは評判となって患者さんが増える)
- 新聞、雑誌への寄稿、テレビ出演などのオファーがある(かもしれない)
- 専門分野の知識がより深まり、実際の仕事(診療や研究など)に役立つ
- 印税が入る(これは一緒ですね)
- 親孝行になる(これも一緒です)
いいことばかりですね!
とくに、出版はセルフブランディング(個人が自らをメディア化し、自らの力でプロモーションすること)には最高のツールだと思います。
一方で、デメリットはほとんどありません。
もしあるとすれば、じっさいに原稿を書く、編集者と打ち合わせする、校正する、といった作業に時間がかかるということでしょうか?
出版はもうかるのか?夢の印税生活は可能か?」
みなさんも、一度はベストセラー作家のように、「夢の印税生活」をしたいと考えたことがあるでしょう。
本を出版したら儲かるのでしょうか?
答えは、当たり前ですが、本が売れるか売れないかにかかっています。
一般書の場合、印税(著者の取り分)は本の代金の7%~10%(名前だけで本が売れる有名人ではそれ以上)程度となります。
したがって、1,500円の単行本が1冊売れた場合、100円前後の印税が入る計算となります(新書や文庫本の場合にはもっと安くなります)。
単純に計算して、1,000部売れたら10万円、10,000部売れたら100万円となります。
ベストセラーと呼ばれる10万部に達したら、1000万円です!
昨今の出版事情はきびしく、多くの本が初版(通常3,000~5,000部)で売れ残ってしまい、追加の印刷(重版)がないまま終わってしまうといわれています。
つまり、一番多いパターンが「30~50万円の印税が振り込まれて終わり」ということになります。
臨時収入にはなりますが、あまり儲かりませんね。
ほんの一握りではありますが、ベストセラーになると印税だけで数千万円になります。
なので、「基本的にはあまり儲からないが、たくさん売れた場合に儲かる」というわけです。
「夢の印税生活」は期待しない方が無難ですね!
医師が商業出版するためにはどうしたらいい?方法を解説
自費出版と商業出版について
本を出版する場合、自費出版と商業出版があります。
自費出版は、自分でお金を払って本を制作してもらい、出版するものです。
大手出版社の自費出版の場合、だいたい500部で200万円以上かかるようです。
一方、商業出版は本を作って本屋さんに流通する費用を、出版社が払うことになります。
本が売れるか売れないかは死活問題となります。
当たり前ですが、「売れない本を」を作ってくれるお人好しの出版社はありませんので、企画を採用するかどうかを非常にシビアに判断します。
ただ、ひとたび商業出版が決まると、出版社が本が売れるように最善をつくしてくれます。
ですので、可能ならば商業出版を目指したいところです。
ただし、無名の人がいきなり商業出版するのも簡単じゃありませんので、まずは自費出版で実績をつくってから次の商業出版につなげるという方法はあります。
どんな本を書けばいい?
医師が本を書く場合、およそ以下の4つの分類にわけることができます(ドクターP調べ)。
1.医療・健康系
一番多いのが、この医療・健康系の本です。
自分の専門分野(生活習慣病、腰痛、がんなど)や健康について、一般の人向けにわかりやすく説明する本です。
また、なかには現在の医療の常識とは異なった(あるいは正反対の)主張の本(がんは放置しろ、病院には行くな等)もあり、話題性から売れる傾向にあります。
2.ダイエット・食事系
この手の本はいつの時代もたくさん出版されており、本屋さんの一つのコーナーを占拠している感じがします。
医師が、ダイエットのため、健康になるため、あるいは病気を治すための食事法(食品)を紹介する本です。
最近では、牧田善二先生のこちらの本がベストセラーとなりました。
医者が教える食事術 最強の教科書――20万人を診てわかった医学的に正しい食べ方68
3.自己啓発・ビジネス系
これは、自分の潜在能力・可能性や、仕事の効率・生産性を高めるためのノウハウを医師が紹介するといった本です。
精神科医の樺沢紫苑先生によるコチラの本がベストセラーとなっています。
学びを結果に変えるアウトプット大全 (Sanctuary books)
4.暴露系
「医者の本音」、「医師の知られざる・・」というように、一般の人が知らないような医師の本音や医療の裏事情などを暴露する本です。
こんな感じの本です。
いずれにせよ、皆さんの得意分野のことを書けばよいと思います。
どうやって商業出版すればいい?
商業出版をするためには色々なパターンがあると思いますが、基本的には企画(または原稿)を出版社に売り込むことです。
1.知り合いの出版関係者、編集者を介して出版する
出版社に勤めている人、とくに編集者に知り合いがいる場合、コネで出版できる可能性があります。
ただ、企画がまったく売れそうでなければムリでしょう。
2.自分で企画を売り込む
企画を応募している出版社などに自分から売り込む方法です。これが一番ポピュラーな方法でしょう。
ただ、出版を目指している人は多く、競争が厳しいため、やはり編集者の目にとまる「売れそうな企画」でないと採用されません。
以下の出版社では出版企画を募集しています。
また、「企画のたまご屋さん」という、本の出版企画を全国の編集者に配信してくれるサイトもあります。
こちらを利用するのもいいでしょう。
企画書の書き方などは出版社ごとに違っていますので、それぞれの企画応募ページでご確認ください。
3.出版社から出版のオファーがくる
有名な医師(スーパードクター、タレント医師など)や、ブログなどで情報発信をしている医師のところには、出版社から直接オファーがくることがあります。
なかには医師が自分で書かず、ゴーストライターが代わりに執筆する場合もあるようです。
うらやましいですね!
医師の出版:わたしの場合
私が商業出版できた経緯を紹介します。
簡単な流れを書きますと、
- ブログを書いていたので、まとめて出版したいと思った→
- とある出版社に企画を応募した→
- 出版社から連絡があり、面接を受ける→
- 見事企画が通り、出版が実現→
- 出版!という流れです。
という流れです。
もちろん買いましたよ(笑)。
さて、気になる本の売れ行きですが、一度だけ重版がかかりました。
ただ、まだ1万部には届いていません。もう少し売れて欲しいところです。
気になる印税ですが、これまでに50万円の収入となりました。
ただ、収入以上に、達成感というか、満足感がありあます。
なにより自分の本が全国の本屋にならんでいることを想像すると、世界が違って見えてきます(大げさですが・・・)。
そのくらい、本の出版にはインパクトがあります。
まとめ
この記事のまとめ
- 医師が出版するメリットはたくさんある。
- 印税で儲かるかどうかは、本が売れるかどうかにかかっている。
- 商業出版するためには、出版社のコネを使う、企画を売り込む、あるいは、ブログなどで情報発信して声がかかるのを待つ、といった方法がある。
医師が出版すると、儲かることもあれば、儲からないこともあります。
出版は時間はかかりますが、セルフブランディングに有効で、他の仕事につながる可能性があります。
たとえ文章を書くのが下手だとしても、「売れる企画」さえあれば、出版は可能です。
ドクターP
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