今日は、「医師が製薬会社からもらっている講演料(講師謝金)はいくら?」について検証したいと思います!
皆さんも経験があるかも知れませんが、医師は研究会やセミナー、あるいは製薬会社の勉強会などで講演・講義をすると、(一般的には)製薬会社からお礼のお金(謝金)をもらえます。
身分・肩書きにも寄りますが、この謝金が意外と高額なのです。
例えば、私の場合、大学病院の講師時代には、1回の講演で5万円~7万円くらいもらってました。
もちろん、製薬会社の人と仲良くなったり、(ある程度)出世して有名にならないと講師依頼のお声はかからないわけですが、なかには、この講師料・謝金で年間1000万円以上も荒稼ぎしている教授・准教授もいるようです。
そこで今回は、
といった疑問を明らかにすべく調査してみました!
その結果、驚くべき医師の実態が明らかになりました(笑)!
医師の講演料(講師謝金)はいくら?マネーデータベース「製薬会社と医師」で調べてみた
医師は、学会(招待講演、ランチョンセミナーという昼食付きの講演会)、研究会、あるい勉強会などで講演をすることがあります。
この際、スポンサーとなる製薬会社から、講師謝金や講演料などといった名目でお金をもらうことがあります(注:このようなお金をもらうことが禁止されている病院もあります)。
これまでは、この講演料がいくらか?については、もらった本人しかわからず、不透明だったのですが、最近、医療界隈で非常にショッキングな話題がツイッターなどで流れてきました!
そう、特定非営利活動法人ワセダクロニクルが立ち上げたサイト、マネーデータベース『製薬会社と医師』です!
これは、医師と製薬会社のお金のつながりを明らかにし、情報の透明化を促進するというものです。
このデータベースによって、「個々の医師が、どの製薬会社から、どのくらいお金をもらっているのか?」を簡単に調べることができるようになりました。
実際にやってみましょう!
マネーデータベース『製薬会社と医師』で調べてみた
まずは、マネーデータベース『製薬会社と医師』にアクセスします。
そして、ページ中央の検索の欄に、医師名(あるいは製薬会社名)を入力します。
試しに、某大学病院の●●教授(ちなみに、個人的に面識はありません)の名前で検索します。
すると、以下のように、謝礼金を受け取った製薬会社数、件数、および総額などが表示されます。
●●教授の場合、1年間で10件の講演をしており、総額100万円を受け取っていました。
医師の講演料(謝金)はいくら?
医師が年間に製薬会社からもらっているお金(講演料など)は総額でいくらなのでしょうか?
個々の医師(1回でも講演料を受け取ったことがある医師の)の平均はどうでしょうか?
- 金額:26.6万円(中央値 7.8万円)
- 製薬会社:2.3社
- 件数:3.6件
平均は26.6万円でした!(ちなみに、私はこんなにもらっていません!)
ただし、一部の医師がたくさんもらっているために、平均の金額を押し上げている可能性があり、じっさいには中央値は7.8万円でした。
大半の医師は、(私のように)おそらく10万円ももらってないと思います。
身分による講演料の違いは?教授になると高いの?
次に、大学病院の身分(肩書き)別に、1回の講演料(講師謝金)をまとめます(あくまで、一般的な金額です)。
身分(肩書き) | 1回の講演料(講師謝金) |
大学病院・助教クラス | 3~5万円 |
大学病院・講師クラス(部長) | 5~7万円 |
大学病院・准教授クラス(副院長) | 7~8万円 |
大学病院・教授クラス(院長) | 11~17万円 |
身分によってずいぶん違うことが分かります。
会社では平社員にあたる助教(助手)では3~5万円ですが、身分が高くなるにつれて段階的に高くなっていき、教授(病院長)クラスになると、1回の講演で11~17万円ももらえるのです。
たとえば30分程度、製薬会社が用意したネタを話したり、あるいは、研究会の座長(司会)を務めただけで10万円以上ももらえるとは、なんと割のいいアルバイトでしょうか?
はっきりいって、教授の役得でしょう!!
製薬会社からの講演料(講師謝金)だけで食べていけるか?
このような製薬会社からの講演料(講師謝金)やコンサルタント料だけで食べていける医師はいるのでしょうか?
答えはイエスです!
- 年間で「1,000万円以上」を受け取った医師が96人(このうち8割は教授)
- 年間で「2,000万円以上」が6人
なんと、年間で1000万円以上も受け取っていた医師が100人近くもいるのです!
すごい副収入です!下手したら、大学病院の年収(本業)よりも高い可能性があります。
ちょっと知り合いの○○先生が某大学病院の准教授をしているので、(下世話ながら)彼の報酬をのぞいてみました!
なんと、年間1000万円超でした!うらやましい限りです。
これだけで食べていけますね!
ちなみに、製薬企業から多額の謝礼金を受け取っている医師(旧7帝大、旧官立6医科大学を前身に持つ医学部)トップ20のランキングが、すでに報道されていました。
デイリー新潮より引用
Foresight 2018年7月10日掲載
製薬会社から多額の謝礼金を受け取る医師のデメリットとは?
では、このような多額の謝礼金を受け取る医師にデメリットはあるのでしょうか?
単純に、「製薬企業から多額の謝礼を受け取っている医師」=「製薬企業と癒着している」とは言えないでしょうが、やはりそのような疑いの目を向けられることは、仕方がないでしょう。
たとえば、その医師が参加する(薬を評価する)臨床試験や研究論文の信憑性・信頼性が疑問視される可能性があります。
さらに、患者さんからの信頼を失う可能性があります。特定の製薬会社から多額の謝礼金を受け取ることは、医師の処方に影響を及ぼす可能性があります。患者さんとしては、「私に処方した薬は、先生が謝礼金を受け取った製薬会社の薬」であることを快く思わないのも当然でしょう。
また、高額の報酬を製薬会社から受け取っている医師には、「新薬の審査(審議または議決)に加われない」といった規定があるそうです。
製薬会社から多額の報酬をもらうことは、製薬会社との利害関係が生まれ、医師としての公正さを損なう可能性がある。
そのような事態を防ぐため、例えば厚生労働省は審議会で新薬を審査する医師に対して次のような規定を設けている。
①過去3年のうち審議に関係する製薬会社1社からの受取額が年間500万円を超える年度がある場合は審議に参加できない。
②審議に関係する製薬会社1社からの受取額が、年間50万円を超える年度がある場合は議決に参加できない。
http://www.wasedachronicle.org/articles/docyens/e2/
ただ、別に新薬の審議に加われなくても構わないという意見もありますが・・・
まとめ
今回、「医師が製薬会社からもらっている講演料(謝金)はいくらか?」について調べてみました。
マネーデータベース『製薬会社と医師』によると、
-
医師が製薬会社から受け取る謝金の平均は26.6万円(中央値7.8万円)
-
年間1000万円以上が96人(このうち8割が教授)
-
年間2000万円以上が6人
という驚くべき結果でした!
ごく一部の医師(教授や准教授)は、この製薬会社からの報酬だけで食べていけるほどたくさんもらっています。
ただ、医師だったらだれでも稼げるわけじゃありません!
頑張って出世しましょう(笑)!
ドクターP
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